"ったく…なんだったのよぉ…"
会社に着いた奈々は、朝の高志への態度にイライラしていた。
『あぁ…!むっかつくぅー!』
『…っ!!奈々?!どうしたの?何がむかつくの?』
"…?!"
『あっ!ごめん…私声に出してた?』
あまりに腹が立っていた奈々は、声に出してしまっていた。
奈々に話掛けたのは、同僚の香織である。
奈々が入社した当時から同期が二人しかいなかったため仲が良い。
『うん…思いっきり声に出してたけど?』
『ごめん…』
『別に私は良いんだけどさ…課長が聞いたらまた怒られるよ?』
奈々は、課の中でもおっちょこい、どじと有名である。
『ごめん…』
『どうしたの?もしかして…また何かあった?』
『え?!またって何?』
『だから…高志さんとその…』
香織は、奈々と高志の仲も知っている…。
奈々が…高志のことをどう思っているかも…。
ことあるごとに奈々は香織に相談していたからだ。
『…うん。そうなの…。もうあいつは人の気持ち分かってないのよ!』
『奈々…また声大きくなってるよ?』
『あっ…ごめん…』
『まぁ、何があったか分からないけど…頑張って……』
重なるように奈々がこう言った。
『誘われたの…』
『え?何が?』
『だから誘われたんだってば!』
『誰に?』
『一人しかいないでしょ…』
『一人って…もしかして…』
『だから…高志に誘われたの!』
『えっ?!えぇ?ほんとに?』
『うん…』
『良かったじゃん!頑張りなよ!』
『良かったのかな?』
『うん!良かったんだよ!』
『でも…何で誘われたのか分からないの…』
『う〜ん…。でも、何か用があったからじゃないの?』
『そうなのかなぁ?』
『そうでしょ!まぁ、頑張りなさい。で、いつ?』
『え?今日…』
『きょ…きょう!?そっか…頑張りな!私は検討を祈ってるよ!』
『うん…ありがとう!』
”なんで誘われたのかなんて分かんないよ…人の気も知らないで…”
『でも…どうしてなんだろう…』
また奈々が呟いた…。
この頃、高志の方はどうだったのだろう…。
+-+--+続く+--+-+
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